home 首頁 navigate_next 出版品 navigate_next 歷年院訊 navigate_next navigate_next navigate_next 第9回高研院レクチャーを開催

第9回高研院レクチャーを開催

黃俊傑

 

臺灣大學特聘講座教授、中央研究院中國文哲研究所學術諮詢委員

 

  第9回高等研究院レクチャー 「東アジア思想交流史の課題」 が、12月16日(金)、野依記念学術交流館カンファレンスホールにおいて、本学教職員、学生や一般の方々など約70名の参加を得て開催されました。

 

  東アジア圏は、広い意味での儒教文化圏としての緊密な関係を持つ中で、多様な近代化を進めてきました。東アジア圏のそれぞれの地域での、個性的な儒教思想と西欧近代思想との対立と葛藤との融合をめぐるドラマが、東アジアの近代と現代を大きく規定してきたと言えます。グローバル化の進展の中で、東アジア圏の文化・思想交流について考えることが、ますます大切になっています。そのためには、目まぐるしく動くみかけの現象に惑わされることなく、歴史と伝統に尋ね、儒教文化圏としての東アジア思想圏の特質や文化的蓄積をしっかり確認することが必要です。高等研究院は、数年来、アジア圏の複数の大学所属高等研究院との間で、「東アジアの思想交流」を主題に共同研究を重ねてきました。今回の高等研究院レクチャーの狙いは、黄俊傑国立台湾大学講座教授・同大学人文社会高等研究院長を講師として招き、「東アジア思想交流史」を問い直しながら、東アジア圏の文化と思想の将来像を展望することにあります。

 

  レクチャーでは、まず、前高等研究院長の安藤隆穂中部大学教授が、高等研究院が進めている「東アジア思想交流史」を主題に、国立台湾大学人文社会高等研究院との共同研究の軌跡を振り返りながら、東アジア圏の文化的蓄積を再確認する意義を紹介しました。続いて、川尻文彦愛知県立大学准教授が、「東アジア思想交流史の方法と課題:東アジア・儒学・近代」と題して、儒学を東アジアという場において、テキストとコンテキストの二つのキーワードから読み解くという東アジア思想交流史の方法と課題について分かりやすく解説しました。次に、區建英新潟国際情報大学教授が、「日本の洋学者と儒学精神」と題し、福澤諭吉の「他者感覚」と「独立自尊」の思想における儒学による影響を明らかにしました。引き続き、辻本雅史国立台湾大学教授が「知の伝達メディアと思想交流」と題して、メディアの視点から思想史研究を考察し、思想史研究における「知の伝達メディア」という視角の有効性を明らかにしました。最後に、「東アジア儒学」の研究で国際的にも高名な黄教授が、「『東アジア儒学』の視野とその方法論の問題」と題して、基調講演を行い、「東アジア儒学」研究の展開を回顧した上、新たな研究領域としての「東アジア儒学」が持つ可能性について面白く講演しました。講演後には、活発な質疑応答が行われ、熱気溢れるレクチャーとなりました。

 

*本文係本院黃前院長俊傑教授於2016年12月16日應名古屋大學高等研究院之邀,出席「第9回高等研究院レクチャー:東アジア思想交流史の課題」,所發表專題演講之內容。全文已刊於名大《トピックス》第258號 (2017年2月)。

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